はじめに
2025年現在、日本では深刻な人手不足が続いており、これを補うために導入された制度のひとつが「特定技能」制度です。今回は、特定技能1号に関する「在留資格認定証明書交付申請」について、行政書士の視点からわかりやすくご紹介します。
特定技能1号とは?
特定技能1号とは、一定の専門性・技能を有し、かつ即戦力として業務に従事する外国人を受け入れるための在留資格です。対象分野は以下の16分野となっています。(2025年7月時点)
- 介護
- ビルクリーニング
- 工業製品製造業
- 建設業
- 造船・舶用工業
- 自動車整備業
- 航空業
- 宿泊業
- 自動車運送業
- 鉄道
- 農業
- 漁業
- 飲食料品製造業
- 外食業
- 林業
- 木材産業
この在留資格により、最長5年間、日本での就労が可能となります。
こちらの記事でもう少し細かい説明をしておりますので、興味のある方はぜひご確認ください。
外国人雇用の第一歩|特定技能制度の仕組みと対象分野を行政書士が解説 | おきなわ外国人サポートブログ
在留資格認定証明書とは?
在留資格認定証明書(COE:Certificate of Eligibility)は、外国人が日本に入国する際に必要な「ビザ取得の前提条件」となる証明書です。この書類があれば、ビザ申請や入国審査がスムーズになります。
つまり、外国にいる外国人が特定技能1号の在留資格で日本に入国するには、まずこの認定証明書を取得する必要があります。
技能実習から特定技能へ移行する場合についてはこちらの記事をご確認ください。
技能実習から特定技能へ移行するには?要件・手続き・注意点を行政書士が解説 | おきなわ外国人サポートブログ
申請手続きの流れ
特定技能1号における在留資格認定証明書交付申請の流れは以下の通りです。
1. 受入れ機関の準備
受け入れ企業(または機関)は、以下の条件を満たす必要があります。
- 所属機関として登録されていること(登録支援機関でも可)
- 適切な支援計画が策定されていること
- 労働条件通知書・雇用契約書などが整っていること
2. 技能測定試験・日本語能力試験の合格
外国人本人は、特定技能分野に対応した「技能測定試験」と、原則として「日本語能力試験(N4以上)」の合格が必要です。ただし、技能実習2号を良好に修了した者は、試験免除の場合があります。
3. 必要書類の収集と作成
申請人に関する必要書類は以下のとおりです:
- 在留資格認定証明書交付申請書(証明写真)
- 特定技能外国人の報酬に関する説明書
- 賃金規定の写し
- 特定技能雇用契約書の写し
- 雇用条件書の写し
- 賃金の支払の写し
- 雇用の経緯に係る説明書
- 職業紹介事業者に関する情報
- 健康診断個人票
- 受診者の申告書
- 技能試験・日本語試験の合格証明書
- 1号特定技能外国人支援計画書
- 登録支援機関との支援委託契約に関する説明書
- 二国間取決めにおいて定められた尊寿すべき手続きに係る書類
- 受入れ機関の概要書
等々があります。この他にも所属機関に関する必要書類や各分野に関する必要書類があり、これらを正確に揃えることが重要です。申請書類の不備は、審査の大幅な遅れや不許可の原因になります。
これらの申請書類を作成できるのは、申請者本人または代理人(本人と特定技能雇用契約を結んだ本邦機関の職員)となっています。
その他としては、行政書士や弁護士だけが本人に代わって書類の作成および代理申請をすることができます。
※ここで注意が必要なのが、登録支援機関の職員はできないということです。
申請書類などを代理だと勘違いして作成してしまうと、行政書士法違反などになってしまいますので十分注意してください。
4. 入国管理局への提出
書類が揃ったら、地方出入国在留管理局へ提出します。代理申請も可能で、行政書士がサポートするケースが一般的です。
※申請等取次者証明書を持っている登録支援機関の方なども代理申請が可能になります。
5. 審査・交付
通常、審査には1か月から3か月ほどかかります。許可が下りると、在留資格認定証明書が交付され、これを元に現地日本大使館または総領事館でビザ申請を行います。
行政書士がサポートできること
行政書士は、外国人の在留資格関連の手続きを専門とする国家資格者です。特定技能1号に関しても、以下のようなサポートを行っています。
- 書類の作成・収集の代行
- 受入れ機関の登録支援体制の整備
- 支援計画書の策定
- 出入国在留管理局への代理申請
- 不許可時の対応相談
特定技能1号の手続きは非常に複雑であり、専門的な知識が求められます。トラブルを防ぎ、スムーズな入国・雇用を実現するためにも、行政書士への依頼を検討すると良いでしょう。
よくある質問(FAQ)
Q1:技能実習2号を終えた外国人は、特定技能に移行できますか?
はい、技能実習2号を良好に修了していれば、特定技能1号への移行が可能であり、試験も免除されます。
Q2:家族を帯同することは可能ですか?
特定技能1号では原則、配偶者や子どもなど家族の帯同は認められていません。ただし、特定技能2号になると帯同が可能になります。
Q3:5年を超えて働くことはできますか?
特定技能1号は最長5年間までと決まっており、延長はできません。ただし、特定技能2号に移行すれば、在留期間の更新が可能となり、無期限の在留も可能です。(介護分野は特定技能2号への移行ではなく、在留資格「介護」への移行)
まとめ
特定技能1号の在留資格認定証明書交付申請は、外国人雇用を行う企業にとって重要な手続きです。制度の理解と、適切な申請準備が成功のカギとなります。行政書士のサポートを活用することで、煩雑な手続きも安心して進められます。
外国人雇用をお考えの事業者様は、ぜひ一度、行政書士にご相談ください。